「レモンケーキ」という洋菓子をご存知だろうか。レモンの形をしたスポンジにかけられているのは、これまたレモンの香りがするホワイトチョコ。レモン色の外袋は和紙のような手触りで、レモンケーキと書かれたグリーンの文字も良い味を出している・・。
中は至ってシンプルなつくり。ふんわりと素朴なケーキに、ほんのりイエローなレモン味のチョコという組合せ。その淡い甘さと爽やかさは、なんだかノスタルジックな気持ちにさせてくれる。
私が生まれて初めて「ケーキ」という名前の食べ物を認識し、口にしたのはきっと「レモンケーキ」だったはず。保育園にあがる前、確か2~3歳の頃。母と一緒に近所のスーパーに買い物に出かけ、帰りに町のちいさなケーキ屋さんのショーケースに並んだそれを時々買って貰い、おやつに食べていた記憶がある。ふんわりしていて、レモンの風味がする「レモンケーキ」・・おまけつきのお菓子やスナック菓子とはまた違う、特別な魅力があって、本当に大好きだった。
先日のこと。母と話していたら、幼い頃よく行っていたあのお店がつい最近閉店してしまったという。それを聞いて私が寂しがっていたら、母が「とら屋」というお店の「レモンケーキ」を送ってくれた。「レモンケーキ」を見ていると、母との買い物のいきかえりに公園(すべり台を必ずすべる)や靴屋さん(色んな靴があって面白い)、本屋さん(店主のおじちゃんが優しい)、そしてあのケーキ屋さん(買って貰えたら大喜び、通り過ぎるだけの日も見るだけで嬉しい)に寄り道していたことを思い出した。小さかった私の目の高さに並んだ「レモンケーキ」は、食べ物でわくわく高揚する気持ちを教えてくれた存在。大切な幼い頃の日々とセットになった、”なつかしの味”である。
私が小さかった頃はいろんなところで見かけていた気がするこのレモンケーキ。結婚後にこのレモンケーキを見つけて時々買っていたものの、夫の転勤でこちらに引越してきてからは全然みかけないまま今に至る・・という感じでした。今回母に実家近くのケーキ店が閉店したと聞いてすごくさみしくなり、あ~食べたいな~レモンケーキ・・と話したら、広島駅にある「とら屋」さんで買って、送ってくれました。もみじ饅頭などの有名どころに比べたら地味かもしれませんが、私にとってこれからもずっとずっと存在していて欲しいお菓子なのです。
ありがとうございます。
~ある日のつぶやき~
食べ物と思い出はセットになっている。人生初の飛行機搭乗前、不安いっぱいの気持ちで食べた空港の坦々麺、早朝の駅で唯一開いていたマックに入り、はらぺこで食べたホットドッグ、再検査の結果異常なしと分かり、安堵と感謝の気持ちでひとりランチした時のごはん・・どれも染み入るようにおいしくて。忘れられない。。