だしの旨さ・・太麺の「薬玉うろん」、うろん江口

「茹でるのにお時間頂くので、
20分程かかりますがよろしいですか」

そう言われて待った末、登場したのが
「薬玉(くすだま)うろん」。
1200円(税抜)。

澄んだ出汁、太くて存在感のある麺。

「うろん江口」。

「空堀どーり商店街」の中間辺り。
南へ伸びる小道沿いにあるお店。

町家の佇まいがとてもひそやかで、
思わず通り過ぎてしまいそうになった。

引き戸を開け、土足のまま上がる。

店内かなり暗め。
橙色のランプが灯り、どこか神秘的、
幻想的なイメージ。

ほぼ真っ暗な中、
あかりに導かれるように奥へ進む。

メニューの表紙に
「なにしまひょ」とあった。
えーとね・・と語り掛けたくなる。

注文を終えると出てきたお膳。

こちらは、すだちの入ったうどん。
ぶっかけのようだ。

メニューにないが、
この日ご用意ありますとの案内で、
注文。

きゅっと引き締まった細麺。
少し濃いめの出汁もよく冷えていて、
すだちの爽やかな風味とよく合う。

「薬玉うろん」。

このようにかなり太い麺。
柔らかだがコシがあり、出汁に馴染む。

この出汁がまた、
深みのある上質な味わい。
最初に出汁をひと口飲んだら
とまらなくなった。

早く麺を・・と思うのだが、
飲むのをやめられない。

いつも思うのが、
上質で体に良い、体が欲するものは、
自然と食べたくなり、飲みたくなる、
ということ。

自動的に・・と言いたいくらい、
すっ、すっと箸やさじが動くのだ。

出汁を飲んだこの時が、そんな感じ。

淡く繊細な出汁、
歯を押し返す弾力、でも優しい太麺。

わくわくしながら、
じっくり待った甲斐があったと思う。

ご馳走様でした。

 

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ゆるやかな坂道の途中にある「うろん江口」。入り口のひっそりした風情が何とも言えず良い。関西のうどんは澄んだ出汁が特徴だが、こちらの出汁も透明感があって旨味が深く、私のような下戸ではなく上戸のかたなら、出汁をアテに一杯いけるんじゃないか、と思うほど。脇役ではなく主役級の出汁を味わうつもりで伺うのも良い気がした。。