育てる48時間「発酵デザイナーのこうじづくり講座」@大阪

48時間のちょっと手前。44時間くらいの「こうじ」。
こまかーいパウダスノーがかかっているような感じ。
初めて作った、育てたこうじ。なんだか愛おしい。

「発酵デザイナーのこうじづくり講座」・関西の陣。
3日、あべのハルカスで開催されたこちらの講座に参加。
「発酵デザイナー」小倉ヒラクさん主催の講座である。

世界でただ一人の、デザイナー兼微生物研究家であるヒラクさんから
レクチャーを受け、自分のこうじを仕込むという魅力的なイベント。

酵母をおこすより難しいという、こうじづくり。
こうじは酵母よりセンシティブなので、ツボを押さえないとうまくできない、
とヒラクさん。

なぜ、どうなって出来ていくのか、という原理を
講座でちゃんと説明するから、一度失敗したとしても、
次はうまくいくとのこと。

確かに手順を聞くだけだと、メソッド通りにうまくいけばいいが、
イレギュラーな現象が出た時に戸惑うし(むしろ毎回違うといっていい)、
手順を守ることだけに注力して、菌には迷惑なとんちんかん勘違いを
やらかしかねない。

その時々で調整するためにも、失敗を防ぐためにも、
「原理を知る」というのがとても大事なのだ。

どうしてそれをするのか、を分かって取り掛かる。
あとは菌の働きを見守りながら、生き物を育てる感覚で手入れする。
わくわくしてきた。

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こうじは「事前準備→仕込み→手入れ」を経て完成。
今回の講座では、失敗する人が多い「仕込み」を皆でする。
事前準備はヒラクさんがしてくださっており、手入れは各自が帰宅後に行う。

上の写真は、数時間浸水させた米を蒸すため、木のセイロに入れているところ。
はしっこのすみずみまできっちり米を詰める。

失敗原因のひとつとして、
「炊く」と「蒸す」を混同していることがあるんだそう。

炊くのは、水で煮る感覚。外側から熱が加わるのに対し、
蒸すのは、浸水させた水に熱を内側から加える、ということ。
「蒸す」必要があるのに「炊く」感覚でいると、浸水が不十分になる、と。

また、米の外側に水気が残っていると、米同士がくっついてうまくばらけない。
それだと菌がつくべき米の表面積が減るので、水気をしっかり切ること。

なるほどー。
ここまで聞いていたら、少々ずぼらに「これでいっかー」とは思わず、
必要だからしっかり浸水させて水気をきる、という行動をとれる。

芯まで完全に浸水させ、かつ、外側の水気をしっかりきった状態。
これが蒸す前のベストな米の状態だ。

米を蒸す時間を利用して、ここからは座学。
これがまたとても面白かった。

人間に有用な、役に立つ微生物が働いている状態が「発酵」。
人間に無用な、役に立たない微生物が働いていると「腐敗」。

地球の物質は微生物の分解で循環しており、
たまに人間にいいものを出すのが「発酵」なのだ。

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乳酸発酵、酵母発酵、酢酸発酵のプロセスの説明で化学式が出てきた。
通常は化学式なんて見たら、くらっとめまいがしそうだが、
そこはヒラクさんのお話。すごく楽しい内容だった。

酵母発酵の化学式は、
グルコース→エタノール+二酸化炭素+元気! という解説。
エタノールは良いにおいのするアルコール。
我々が喜んで食べているパンやお酒・ビールは、
酵母の排泄したものから出来ている。

そう、「誰かにとってのゴミが、誰かにとっての宝物になる」、
これが「発酵」なのだ、とのこと。面白い。

発酵食品は、ある物質に微生物がとりつくことにより、
美味しく役立つようになった食べ物のこと。

発酵のポイントとして、
・保存できる
・栄養満点になる
・おいしくなる
という3つがあり、腐敗菌さえ入らなければ、永遠に発酵し続ける。
ワインが良い例だ。

米に麹(こうじ)菌がつくと、菌が米を小さく切って分解していく。
でんぷんをブドウ糖に分解、小さい物質にするということ。

より小さい物質に触れると、舌にある味蕾(みらい)=味のセンサー
が発達していくので、 赤ちゃんの頃から、離乳食が始まったら、
発酵食品を食べさせるといいそう。

そして、発酵食品は腸内で小さくする前にすでに小さくなっているから、
消化吸収が良い。いわば、菌にアウトソーシングしている状態、とのこと。

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あと、旨味成分には中毒性があり、海外に行って一週間もたつと、
日本食(発酵食)が恋しくなるというお話も。
近年世界でも注目されている「和食」は、ヘルシーかつジャンキーになる、と。

和食は、こうじで支えられている。
麹菌=アスペルギルス オリゼは、日本の国菌(こっきん)。
日本だけに存在する菌だ。

化学的なことも分かりやすいイラストや例え話で紹介してくださるので、
とても楽しく拝聴しているうち、あっという間に時がたつ。

座学だけでなく、体も動かした。
昨年のみそ作りワークショップの時もそうだったように(その時の記事
今回も「こうじのうた」に合わせて皆で踊った。

♪こうじモコモコ こうじモコモコ うまみます あまみます♪ byこうじのうた
大人もこどもも、レッツダンシング!
歌って踊って楽しみながら手順を覚えられる、画期的な試み。

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ここで、米が蒸しあがったようだ。

皆で少しつまんでとってつぶしたり(「ひねりもち」)、食べてみたり。
ぱさぱさで硬い。だが芯はない。
中に芯がないなら、一番硬い状態が良いとのこと。

アップにするとこんな感じ。

さらし(これまたお洒落で実用的)に蒸した米を広げて・・。

種菌をかけ・・。

手のひら→指の順でぱらぱらになるまで、蒸した米をほぐす。

包んださらしに温度計を差し、きちんと縛ってこうじ箱に入れたら、
ひとまず終了。 あとは自宅での手入れとなる。

一人ひとりのこうじ箱に、ヒラクさんがイラストとメッセージを描いてくれた。
イラストレーターでもあるヒラクさんのイラストが可愛くて、テンション上がる。

出来上がりは、きめ細かいパウダースノーが全体にまぶされたような感じ。

宿題の「甘酒」を作ってみることに。
作ったこうじと水だけで作る。炊飯器を使用。
この出来で ”己の実力が丸裸になる” by ヒラクさん。
さてさて、完成したものを味見・・。

わ、甘い!ふんわり優しい味。 良い香り。
成功のようだ。良かったー。

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朝起きてこうじの温度を見たら、30度ぎりぎりということもあり、
おなかにこうじの入った包みを抱きつつ、替えるためのお湯をわかしたり・・。

お湯替えのタイミングと、替えたばかりは熱すぎるので、その調整など。
自分で手入れしてみて初めて分かることが色々あった。

本当に生き物を育てている感じで見守った約48時間。
貴重で楽しい経験だった。

今回参加した「発酵デザイナーのこうじづくり講座」・関西の陣。
ヒラクさん独自の簡単に作れるメソッドのおかげで、
私たち素人でも自宅で作ることができるのが有り難い。そして、
こうじが育つ過程を、自身の感性と思いやりで見守り、サポートする・・
というのが大切なんだなと思った。

何度も再現していくうちにコツを体得し、
自分なりの「こうじ」ができていくのだろう。

感性とこうじが共に育っていく「こうじづくり」。
またチャレンジしたい。

 

 

詳しいメソッドを知りたいかたは、ヒラクさん主催の「発酵デザイナーのこうじづくり講座」にご参加を。ここでは書ききれなかったあれやこれやを直に聞いて、体験して欲しい。自分が実際に作ってみることで、こうじの素晴らしさ・すごさが分かるし、ヒラクさんもおっしゃっていたように、こうじを扱うプロの方々への尊敬の念も生まれることだろう。関西での開催は今回が初。ヒラクさんの講座でメソッドを受け継いだ人たちが、ここ関西の地で講座をしてくれるようになるといいなーと思う。私もまたチャレンジしたい。

小倉ヒラクさんのサイト
「発酵」について、アカデミックなことを分かりやすく伝えてくれる記事の他、 デザインや日常のこと、はたらくこと、本や映画のレビューなど、多岐に渡る内容の記事が沢山掲載されており、読んでいると興味深くとても楽しい。
ヒラクさんの、宇宙みたいに広範な知識と深い考察、スタイリッシュであたたかい遊び心にぜひ触れてみて。おすすめ。

 

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