良い焼き色に、きゅいっと反ったフォルム。
存在感抜群の、「BANANA」の文字。
ずっしり持ち重りする、こちらの菓子は・・。
釣鐘屋本舗*の「名代 芭蕉」。
芭蕉とは、バナナのこと。
幼い頃、スーパーで時々買って貰ったバナナカステラ。
その源流がここにあったか!と思い、はっとしました。
思い出します。
スーパーでは和菓子コーナーに置かれていて・・。
祖父母の家に行ったら、よく買い置きしてあったなぁ。
そしてもうひとつ。
奥にあるのが「一口かすてら」。
ミニサイズの釣鐘まんじゅうですね。
でもこちらは中にあんが入っていないタイプ。
生地だけかぁ・・見送ってもいいかな、と思いました。正直言うと。
でもそれなら、どうしてこれがここにあるのか。
その答えは・・。試食させて頂いて、意外なおいしさに驚いたから。
一味違う理由は、生地を寝かせて熟成した「寝かせ生地」にあり。
噛みしめるごとに甘みがじんわり口に広がり、深みのある味わい。
おいしいんです。中身が入っていなくても。
軽くつまんでパクパクっと食べたいな~という時に良さそう。
ほの甘い生地そのものの味。
だから、どんな飲み物にも合います。うん、いい。
さて「名代 芭蕉」を・・。
カステラの中は、バナナの香りがついた白あん。
北海道産てぼ豆が使用されていて、皮はないのでこしあんですね。
とてもきめ細やか。
カステラとの境目が分からないほどマッチしています。
ふんわり柔らかで、本当においしい。
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果物のバナナが一般に出回り始めた、昭和のはじめ。
まだ数が少なく高価だったため、庶民にとっては高根の花。
バナナが食べたいという庶民の願いを叶えたいと・・。
釣鐘屋本舗の二代目が作り出した商品。
それが、この「名代 芭蕉」なんだそう。
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庶民の夢から生まれた・・「名代 芭蕉」、釣鐘屋本舗。
庶民の夢はもちろん、それを叶えたいと工夫したお店の心意気。
二つが合わさったことで、今に続く銘菓が生まれたんですね。
そのおかげでおいしい恩恵に与れるのは、本当に嬉しいことです。
釣鐘屋本舗さんの袋。「釣鐘まんじゅう」と「名代 芭蕉」のイラストが描かれています。他にも大阪名物がいっぱい。見ているだけで楽しくなる^^。それにしても、あのバナナカステラのご先祖様に出会えるとは・・嬉しい限り。やっぱり味も重量感も別格でした。。
~ある日のつぶやき~
高級な果物だったバナナ。今では気軽に食べることの出来る果物となった。ものは同じ・・むしろ品種改良などで今の方がよりおいしくなっているのかもしれない。が、昭和初期の頃のバナナの味は、大げさに言えば、人生を変えるほどの味・・だったのかも。希少価値、思い入れ、バナナのまわりのエピソード。それらも込みの「味」だったはずだから。。