先週、映画「エンディングノート」を観てきた。
ドキュメンタリーである。
主人公は砂田知昭さん。
今作がデビュー作となる砂田麻美・監督のお父さんだ。
67歳で退職し、第二の人生を歩み始めた矢先。
ステージ4のがんが発覚する。
特技は「段取り」と「空気を読むこと」という、お父さん。
最後のプロジェクトとして自分に課したのは・・。
自らの死の段取りと、エンディングノートの作成だった。
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ここまで紹介すると、すごく重くて悲しい内容と思うかもしれない。
だけど違う。
それがこの映画のとても良いところだ。
娘が死期の迫った父を撮る・・。
(実際はもっと以前から撮影されていて、元気な頃の映像もある)
密着しすぎたら、感情的に余人の入り込む隙がなくなる。
離れすぎても、不自然で実感が薄れる。
監督自身が身内でありながら、ある一定の距離が保たれていて。
この距離感が絶妙だと思った。
そのおかげで、観る側はこの家族の世界にすっと入っていける。
お父さんに、前からの見知っていた人のような親近感を持てる。
撮影・編集もされている砂田麻美・監督。
作品中には神父さんや主治医の方も出てくるのだけど、皆さん
とても自然。撮られている、ということを意識しないような感じ。
きっと監督の持つ雰囲気が、人をリラックスさせてるんだと思う。
そして、編集の妙というか構成の仕方がすごく良い。
現在、過去がすすすっと違和感なく交差することで。
大きく長い視点でお父さんや家族の歴史に思いを馳せる事ができる。
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愛すべきキャラクターのお父さんが話す言葉、行動。
それらが家族の皆さんだけでなく、映画を観る人の心も救う。
悲しいけれど笑えて、可笑しいんだけど泣けてくる。
涙も笑いも大げさでなく、べたついてもいない。
ひゅるっと心地よい風が吹いている。
見終わった後、気持ちが軽やかなのだ。
だけど場面を思い出すと、涙がにじんでくる・・。
そんな、深くてじわっとした、余韻より少し強いものを感じる映画。
良かったです。
観終わって、ぼーっとしていました。人の死・・つらい内容のはずだし、実際背中がひくひくするほど泣いたけど、席から立ち上がる時の気持ちはふわりと軽く、じんとあったかくて・・。こういう描き方(ドキュメンタリーだけど)もあるんだ、と思いました。今まで観たことも感じたこともない感覚の映画なのに、なつかしいような、ずっと知っているかのような感覚もして。んーこれは、観て頂けると分かると思います。。
~ある日のつぶやき~
女性は強い。か弱くはない。男性よりはるかにしぶとくてしたたかなのだ・・とずっと思っていた。だけどこの映画を観て思った。男性はそれも分かっている上で、女性よりすこし大きな器で支え、受け入れてくれているんじゃないか、と。女性がしぶといのは事実だけど、男性は相手を知り抜いて時にはあきらめ、受け流しながら思いやってくれているんじゃないかと。心の男性”性”が女性にある場合も、その逆もあるかもしれないけれど・・。夫婦、パートナーとの関係性。もちつもたれつ。でも、この映画のお父さんの愛を観て感じて、夫である人の思いやりとはどんなのかというのをちょっと分かった気がする。我が家がどうなのかはまだあんまり分かってないけど・・。そうであったら嬉しいなぁ。。