TEA FOR TWO ~その食べ物は~

最初は熱々がいいのかなと
思っていました

そうしたら
よりおいしくなる気がして

でもあっためてみたら
めちゃめちゃ熱くて
触りたくても触れなくて

全然食べられなくて

もうダメかと思ったら
なんだかいい感じに冷めてきて
ちょうどいいかもなと

ここで食べてしまおうと
綺麗なお皿とフォークを
もってきて
無理に食べようとしたら

突然 瞬間冷凍されてしまい
カチカチに凍りついて

また全然食べられなくなって

どうしたら
食べられるのかなと
悩んでいるうちに
見えなくなりました

なくなったんだと
悲しくなりました
最初からなかったのか
錯覚だったのか
そう思って泣きました
泣いて泣いて泣いて

しばらくしたある時
食べられなくてもいいかなと
ふと感じたんです

こんなにおいしそうなものが
この世にあった
そう確信する瞬間があった
今は見えないから
どうなったか分からないけど
それを知ることができたから
もうそれで十分なのかなと

そうこうしているうちに
気づきやきっかけがあり
私は私で
自分にとって大事なことを
ひとつひとつしていこうと
行動しはじめました

そうして
しばらくして気づいたら
自然解凍されて
目の前にありました

逆を向いていたから
見えていなかっただけで
ずっとそこにあったんです

窓から差し込む太陽の光で
温められて
じんわりとあたたかく
なっていました

最初の熱々とは違い
冷凍のカチカチとも違う

ちょうどいい温度、常温に近く
ちょうどいい硬さ、柔らかさで
変わらずおいしそうで

綺麗なお皿がないとだめとか
フォークがある方がいいとか
ほんとにおいしいかなんて
分からないからいいやとか

そういう思い込みを棄てて
ただね
そのままそっと
手に取ってみたんです
なんていい香り

おいしいかどうかは
食べて見ないと分からない
だけど
なぜだかおいしいことが分かる
知っている

生まれてくる前に
食べたことがあったのかな

でも
おいしいかどうかというより
これがあるってことが大事で

今までだったらきっと
怖かったり用心しすぎたりで
食べなかったと思います

どうしておいしそうと思うのか
分からないけど
たまらなくおいしそうで
きっとおいしいってことを
知っている

私はこれが食べたかったのかと
これを食べるために
今までがあったのかと
これを食べるために
生まれてきたのかと

手に取ればそれは
綺麗なお皿もフォークも
いらなくて
ただただおいしそうで
私がいちばん食べたかったもの
でした

こうでなければとか
これがないとという
思い込みはいらなくて

そのままで良かったんだなと
そう思ったのです

ひとりで食べるのは
もったいない

食べてもらいたい人
一緒に食べたい人がいる

だから
だから

見ていようと思います
そこにあるのを
ただ
ただ・・・

anata to taberu toki wo
tanoshimini…

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あっためたり冷凍したり解凍したり…大丈夫?って感じですが、比喩なので大丈夫。ちゃんとおいしいはず。アップルパイ(好きなんです♪♪)みたいな食べ物だと思って頂ければ…。