母方の祖母は、
祖父を見送った後、気弱になって、
元気がない様子だった。
皆で話した結果、
猫を飼うことにしてはどうか、ということに。
沢山生まれたという家から貰ってきた子猫は、
手のひらにのるくらいの大きさ。
人懐っこい子で、どんな人にもすり寄っていき、
ふところに入ったり、ひざの上で眠ったりする。
子猫と祖母の生活が始まった。
祖母の家は幹線道路に面していて、玄関の外は
大きなトラックや車が常に走っている。
いつだったか、
子猫が勝手に家を抜け出し、
目の前を走る車に驚いて家に戻り、
自分からはもう絶対に外へ出なくなった、
と祖母が話していた。
たまに遊びに行くと、
いたずらを愚痴っていた祖母だけど、
やはりいてくれるから楽しいし、
心のよりどころになっていたようで、
気持ち的にも落ち着きを取り戻していたように
思う。
穏やかな数年がすぎ、祖母が旅立った後、
叔母の家で第二の猫生スタート。
立派なおっさん猫になっていたが、
鳴き声は子猫の時から変わらず、
ものすごく可愛い。
叔母の家の近所の方が子供さんと一緒にこられて、
「可愛い子猫ちゃんの声が聞こえるので、
ぜひ見せてください^^」と。
「あの…子猫ちゃんじゃなくて、
もうおじさんなんですけど、良かったら」と
応対したこともあったらしい(笑)
ソファの上には上がったらダメ、と叔母に
言われてて、普段は決して上がらないのに、
いとこが出産して、赤ちゃんの世話で皆が
てんてこ舞いになっている最中、
ふと気づいたらソファで悠々と眠っていた、とか。
これならおこられないだろう、
今なら気づかれない、
甘えたい時は遠慮せず、のしっと膝にのる、など、
自分なりに上手くタイミングをつかんで、
楽しく暮らしていたようだ。
病を患う日々もありながら、
叔母の家でゆったりと余生を送り、
ある猛暑の夏に旅立った。
私は、飼うなら犬、という感じで、
実家で犬は飼ったことがあるけど、猫はない。
気まぐれでマイペースで、
ちょっと生意気で、なんだかんだで
自分の要求をするっと通して、
でもそれが可愛くて。
振り回されるのも嬉しい、それが猫。
猫みたいに生きられたら幸せかもなーと思ったので、
ちょっと思い出して書いてみた。