手放すこと

とても大切な小鳥だから
かごの中に入れていた

だけど、大事にしすぎて
その小鳥のことばかり気になる

えさは食べているか
ちゃんと眠れているか
しっかり動いているか

小鳥にしてみればちょっと
うっとうしい
放っておいてほしい

そうだよね
小鳥の気持ち
考えてなかったのかも
ごめんね

だから小鳥を手放すことにした

かごを開けて
手のひらに小鳥をのせる
そしてこう話しかけた

「あなたは自由だよ
飛び立っていきたければどうぞ

もし戻ってきたかったら
戻ってくればいい

飛び立ちたくないなら
とどまっていい

どれを選ぼうと
あなたの自由だから
好きなようにしてね」

と。

小鳥を手放す

それを決めること
それを実行すること
そのときが一番こわい

だけどね

それができたら
小鳥も自分も自由になれる
小鳥と自分を信頼できる

そう

小鳥を手放すことは
小鳥のことも自分のことも
信じるということだったんだ

信じることは自信につながる
ぐらぐらしていた心に芯が通る

お互いを信じられたとき
心が軽くなる

あらゆる可能性を受け入れたとき
強くなれる
自由になれる
軽やかに飛び立てる

———

飛び立った小鳥
今頃どうしているだろうか

小鳥を愛おしく思う気持ち
に変わりはない

元気でいてくれたらいいな
そう思う

夕暮れどき 鼻歌まじりに
ごはんを作っていた私の肩に
いつのまにか
とまっていた小鳥

こちらをみて言った

広い広い青空と
さわさわゆれる木々の間を飛んで
まぶしい太陽の光を浴び
ちょっとのんびりしてきたよ

自由ってこういうことなんだ
どこまでもいける
楽しいなって思ったよ

だけどちょっとさみしくなった
心がすーすーするんだ
なぜなんだろう
こんなに自由なのに

そしてきれいな夕陽を見たとき
あなたにも見せたいと思った

そう あなた
あなたのことを思い出したとき

あなたの笑顔が見たくなったんだ

優しくて温かいあなたのまなざしが
急に恋しくなったんだ

だから戻ってきたよ

今までありがとう
これからもよろしく

———

閉じ込めるのではなく
開け放ったかごに戻ってきた小鳥

それは自由な意思からの選択であり
お互いにとってお互いが必要だと
改めて分かったということ

それを小鳥もあなたも自覚できる

手放そう 小鳥を
手放そう 執着している心を

手放すことができたとき

自由になったあなたのもとに
素敵ななにかがやってくる

以前と同じものでも
より大きく深い愛情をたずさえて
かえってくる

そういうふうになっている
そういうふうにできている

手放すことは信じること
手放すことは愛すること