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物差しと単位の違う愛がある途轍もないと気づける奇跡
見返りを求めずひたすら愛し抜き守り抜く時見える鳥達
「犠牲と愛 -胸を打つもの-」
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◎創作ノート<解説>*ネタバレを含みます。
映画『彼女がその名を知らない鳥たち(2017)』の陣治の十和子への愛といったら。もう途轍もない。普通の人の物差しでは測れない。尺度や単位が違う。そんな気がします。主要な登場人物達は褒められたことをしている訳ではなく、こんなことをしてはダメだし、それはみんなそう。だけど、こんなに胸を打つのは、陣治の愛の大きさが途轍もないからだと思います。自己犠牲の最たるもの。でもこんなことしちゃほんとダメだし、見た直後から今もずっとそう思っています。そんな中、あり得ないほど大きい愛が胸を打つのだなと、そう解釈しています。汚い扮装で下品を装って阿部さんが演じている陣治の愛だけがきらめいていて、胸を打つ。十和子、失くしてから気づいても遅いんだよと言いたくなったけど、気づけてよかった。気づけたのは絶望の中の奇跡。最後の十和子のセリフ。十和子にそう言わしめるに至った陣治の愛を描いた作品です。