帽子の主 -亡き父のこと-

これ良さそう手に取ろうとしふと気づくもうかぶる人いないんだった
いないとは肉体がないということ心の中にいるからいるね

「帽子の主 -亡き父のこと-」

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◎創作ノート<解説>
今年の初めに父が亡くなってから、私自身、体調を崩す等いろいろあって、今に至るのもあっという間の感があります。先日、お店の前を歩いていて、あー父の好きそうな帽子がある、これいいなーと手に取ろうとして気づきました。もう父はいないんだった、と。父は頭のサイズが小さめで、市販のものだとぶかぶかになりがち・サイズ調整がついているものでも大きい、ということが多々あったため、私が手作りしたり、小さめでお洒落な帽子があると買って送っていました。父がこの世にいないと認識するのはさみしく、せつない。けど、いないのはこの世に肉体がないだけで心の中には、いる。それを詠みました。