レンズを介して向き合う世界

撮影とは、
レンズを介して向き合う世界。

レンズは目のかわり。
まばたきのかわりがシャッター。

レンズがあるから照れなくて、
レンズがあるからちょうどいい。

少し近づいては遠ざかり、
また近づく。もっと。もっと。

そうしたら。

レンズがあるけどなくなって、
レンズがあるって忘れてしまう。

撮影って不思議。
独特の時間と距離感だから。

撮影するのが好き、得意な人は、
言葉にするかわりに、
写真を撮る。

表現言語としての写真。

そこには心が写っている。
撮影者の。被写体の。

そこには雰囲気が写っている。
その場で感じたそのままの。

写真を見てわきあがる感情は
どんなものだろう。
楽しい?嬉しい?せつない?

距離感をはかり、
雰囲気をつかみ、
光を操ってシャッターをきる。

通常ならそれで終わり。

でも近づきすぎたら
どうなるのかな。

写るって心を開くこと。
写すって心を感じること。

だから。

近づきすぎたら・・・
心の中に入ってしまう。
そして自分の一部になる。

レンズを介して向き合う世界。

カメラと人が一体化して、
レンズは目に戻り、
シャッターはまばたきとなる。

記憶という名の写真と、
何かが残る。互いの心に。

 

 

 

 

 

 

 

 

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宇梅能波奈 香乎加具波之美 等保家杼母
己許呂母之努尓 伎美乎之曾於毛布

梅の花 香をかぐはしみ 遠けども
心もしのに 君をしぞ思ふ

<万葉集 市原王>