コツは切り方と待つこと・・「野菜の重ね煮」初体験、キッチン にしまち

「野菜の重ね煮」を初体験してきました。
これね、すごいんです。
簡単にできておいしく、応用自在で日持ちする、という優れもの。
料理が苦手、という人でも大丈夫ですよ。

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二条城の西側、 京都市中京区聚楽廻西町にある「キッチン にしまち」。
こちらのオーナーは、重ね煮料理研究家の山崎雅子さん。
(山崎さんのサイト

昔ながらの古い町家を、約七か月かかって大部分セルフリノベーション
したという、 教室のキッチン兼ご自宅。
オープン前の先日、ひと足お先におじゃましてきました。

真っ白な漆喰の壁がまぶしく、ウッドデッキのある坪庭が とっても素敵。
奥に長い作りながら解放感があって、明るい室内です。
入ってすぐ、右側がオープンキッチン。
作っている様子、手元が全て見えるんです。

左側はテーブル席が設けられていて、イートインも可能。

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この日は、簡単にできておいしく、日持ちもしてアレンジ自在という四拍子
揃った「野菜の重ね煮」の作り方と、それを使ったアレンジ 料理を教えて
頂きました。

野菜の重ね煮は ”野菜を切って鍋に重ね、ごく弱い火で ゆっくり蒸し煮にする”
というもの。 使う調味料は塩のみ。野菜の上下にほんの少しふります。
水はほとんど加えません。

野菜そのものの味わい、野菜からでる出汁の相乗効果で おいしくなる、
ということのよう。

野菜を重ねる順番で味が変わるそう。
今回は基本の「玉ねぎと人参の重ね煮」を作りました。

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<切り方が大事 ~ダメージ与えずおいしく~>
野菜を切る→鍋に重ねて入れる→煮るという手順。

それぞれの工程で、おいしく作るための小さなコツはあります。
ただ、大きなコツは「重ね煮」というくらいだから、重ね方と 煮方に
あるのかなぁ、なんて漠然と思っていました。

重ねる順番はやはり大切なコツでした。が、 意外だったのは、
見た目や味、食感の決め手は「野菜の切り方」 だということ。
個人的にはここが一番のキモだなと感じました。

野菜の細胞をつぶさないよう、ダメージを与えないよう、
包丁を前方へ静かにスライドさせて切る。
圧力ではなく摩擦力で切る。これが大事。
玉ねぎは「回し切り」という切り方をします。

芯を上下にして置き、縦半分、さらに横半分に切る。
右利きの人は断面を右にして置いて、中心から放射状の繊維の筋に沿って、
少しずつ回しながら切る。
という方法ですが、読むだけだとわかりにくいかと思います。

百聞は一見にしかず。 ぜひ教室で直接見てください。
ここは重要ポイントなので、実演あり。
そばについて教えてくださるので大丈夫。できます。

急いで圧力で切った断面と、ゆっくり回し切りした断面。
比べるとこれが全然違うんです。

前者はざらっとした粗い断面、後者はつるっと艶のある綺麗な断面。
もちろん、おいしいのは後者。 繊維に沿って切っているので涙も出にくい。
これにはびっくりしました。
今まで、だだだっと圧力まかせで早く急いで切っていたなぁと反省・・。

人参は先に長さを決めて切ります。拍子切りにしました。

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<しっかり煮よう ~全力発揮まで待つ~>
軽く塩をふった鍋に玉ねぎ、上に人参を重ねて入れます。
その上からまた軽く、さらっと塩を振りかけてふたをし、
弱火よりちょっと小さめの火にかけて、約20~25分。
この時間はその時々で調整します。

10分くらいたった時、鍋のふたを開けて音をきいてみて、
ぐつぐつなら良し。パチパチだと水分がなくなってるので水を加え、
火が強いなら弱くします。

さらに10分ほど煮て、一番上の野菜をひとつ取り、味見をします。
このときは人参が少し硬めだったので、しっかり煮るために追加で3分、
計23分ほど火にかけて完成しました。

味見をして思ったのが、甘い!ということ。
野菜の甘みが出ていて、じわじわ旨味が舌に広がります。

塩気はほとんど感じません。ほんの少しの塩を入れることで
野菜の持ち味が引き出せるそうなので、これは入れた方が良いとのこと。

完成した野菜の重ね煮は、手早く冷ますのが長持ちするコツ。
バットなどに開け、保冷材で底から急速に冷やしてから、冷蔵庫へ。

冷蔵で約1週間保存できます。状態が良ければ、それ以上もつことも
あるようですが、一応これが目安。

野菜の重ね煮のポイントは二つ。
①鍋に入れる前に、ダメージを与えない。
②鍋に入れたら、全力を発揮するまで待つ。

①は野菜の切り方に気を付けること、
②は煮る時間をちゃんととってしっかり煮る、ということです。

味見して少し硬めだったけど、もういっかーで切り上げると、
余熱では思ったほど柔らかくならず、味も引き出せないんだとか。
あと2~3分ほどでも、きっちりしっかり煮る、というのが
野菜の全力を発揮させるために大事なんだそう。

これは、助手時代からの経験をもとにしたポイントとのこと。
極意ですねー。

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野菜の重ね煮のアレンジ料理は、デモンストレーション形式。
目の前で実演してくださいました。

ほんの少しの塩だけで、あとは一切の味付けをしていない 野菜の重ね煮は
”「完成一歩手前」の常備菜 ”。
これがほんとに万能で、いろんなものにアレンジ出来るんです。

味噌汁に入れて、「重ね煮味噌汁」。
重ね煮が具になるので、出汁さえ用意すれば一人分からという少量の
味噌汁も 手軽に作ることができます。

「豆腐のふわふわオープンオムレツ」。
これ、ほんとふわっふわでした。あっさり味ながらチーズも入っているので、
コクあり。 重ね煮+ブロッコリーで彩りも綺麗。

「ピザトースト」。
重ね煮の優しい味わいを損ねないため、ピザソースじゃなくケチャップ
を使うそう。

豆腐じゃなく、厚揚げと一緒に混ぜ合わせた「厚揚げの簡単白和え」。
油抜きした厚揚げを使うと、豆腐の時みたいに水切りしなくて良いとのこと。
これ、目からウロコでした。手間いらず&時短。良いこと聞いたー。

これらが、ほーんとにおいしかったんです。
野菜の味をしみじみ感じる。 どの料理にも重ね煮が自然に溶け込んでいて、
実力派の脇役、影の主役、といった風情。

火の通った、そのままで食べられる野菜が入っているから、
ちょっとあっためるだけですぐアレンジ可能なのも嬉しい。

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今後はご自宅での教室に加え、重ね煮の料理会、パック販売のほか、
店頭での量り売り、 重ね煮を使ったアレンジ料理の販売・ イートイン
を予定されているそう。

作り方を習いたい、という人。
作るのはちょっと 面倒 ・・ しんどいけど、食べてみたいという人。
その場でアレンジ料理を頂きたいという人。などなど。
様々な人のニーズに応えてくれます。

赤ちゃんからお年寄りまで。老若男女問わず。
普段の食事の基礎として「野菜の重ね煮」、活躍の場は無限大だー!
と思います。

2016年1月オープンの「キッチン にしまち」。
皆さんぜひぜひ。おすすめです。詳細はサイトを確認してくださいね。
おいしい「野菜の重ね煮」と優しい笑顔の山崎さんが迎えてくれますよ。

 

 

山崎雅子さんと出会ったのは、まさに町家をセルフリノベーションなさっている真っ最中。ブログで紹介されている漆喰の壁塗りの様子などを拝見して、ご自宅の完成を私もわくわく楽しみにしていました。 山崎さんは、酒類メーカーでの営業・企画という会社員生活で食事の大切さを痛感し、給食調理員へ転身。九州のクリニックで重ね煮を知り、年中無休の厨房で重ね煮を作り続けたのち、地元関西で家庭向けに重ね煮の料理会を開き、販売もスタート。現在はNHKカルチャー梅田教室の講座で「野菜の重ね煮」を教えておられます。前からずっとご自宅が完成したら伺いたいとお話していて、先日ついに念願が叶いました。シンプルモダンな室内がとっても素敵。オープンキッチンにも日が差して、明るく開放的な空間です。使う野菜は旬の野菜を中心に、季節ごとでいろいろ変わるとのこと。いつ行っても新鮮で、それぞれ違った味を体験できそうです。重ね煮を食べてみたい、作り方を知りたいという皆さん「キッチン にしまち」へGO!今後はご自宅の教室で、ちびっこ連れのママさんたちの講座も計画中とのことなので、行ってみたいなーと思われたお母さん方、要チェックですよー^^。。
~ある日のつぶやき~
ご縁とは不思議で有り難いものだ。今のタイミングで知り合えた事に驚き、感謝する・・ということがずっと続いている。どんなことも無駄ではなく、どんなことも糧になる。そして、目指す場所へたどり着けるよう行動していたら、必要なご縁やアイテムがひょこっと与えられるものなのかも、と思う。。